それは、深海熱水の微生物にも応用できそうだった。

「もしかして、深海熱水における微生物生態系の多様性は、噴き出している熱水の化学条件によってコントロールされているのでは?」

アメリカ滞在中から、ボクは日本に帰ったら、そのテーマについてぜひ研究してみたいと考えていたのだった。これなら、現在の熱水の微生物について十分価値のある主食的研究ができるだろうし、もしかしたら過去の深海における生命の誕生についても別腹的な成果が得られるかも、と期待できた。

ただ、現実的かつ生産的テーマとはいえ、このテーマに取り組むには微生物学の範囲を超えた、分野を横断した研究が必要だった。

アメリカで滞在していたパシフィックノースウエスト国立研究所では、様々な微生物学者と地球化学者が近くに実験室を構え、密接に関わり合いながら一つの研究テーマを追求していたので、そのような分野横断型研究が可能だった。

しかし、それまで微生物学、あるいは広い意味での生物学しか知らなかったボクが、JAMSTECに戻って深海熱水の物理・化学的性質まで網羅・理解する必要があるその研究をどこまで展開できるかについては、かなり自信がなかったのも事実だった。

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