そんな一発勝負(=生命の起源研究)にすべてを賭けるよりは、より現実的で生産的な研究テーマを主食としながら、ギャンブルとして試行錯誤を繰り返すことによって「別腹よね~」的な成果が派生するかも・・・、というやや堅実な目論みがボクにはあったのだ。

つまり「人生は一か八かのギャンブルよ」と「まだまだ勝負所はココじゃない」という情熱と冷静のあいだ、で冷静が上回っていた。

ギャンブル的研究をちゃんと別腹に収められるような、現実的かつ生産的でありながらも面白くかつインパクトのある主食テーマが必要だった。それが「次、どーする」で求めていた答えだった。

熱水ごとに異なる生態系

ボクのそれまでの研究では、沖縄トラフ(南西諸島の西側に沿った東シナ海の海域)の伊平屋北、伊平屋凹地、さらに伊豆小笠原弧の明神海丘、水曜海山といった熱水活動域の熱水やチムニー中の微生物が対象だった。実は、それらの微生物多様性の比較をしているうちに、同じような熱水噴出孔チムニーであっても、それぞれの熱水フィールドで生息する微生物群集(多様な微生物集団)は大きく違っていることに、ボクは大いに興味を覚えたのだ。

そして、アメリカに2回目の留学をしている時に研究していたテーマも、地下微生物群集が、その生息環境の物理・化学的条件(特に微生物のエネルギー獲得のために用いられる化学物質の存在量や分布パターン)に強くコントロールされるという地球微生物学的研究だった。

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