第33回 ナナフシの「七不思議」

ファノクレス・コスタリケンスィス
(ナナフシ目: Diapheromeridae: Diapheromerinae)のメス
A female stick insect, Phanocles costaricensis
コスタリカのナナフシの中でも体の大きな種。マメ科のインガの葉を食べているところ。
体長:180 mm 撮影地:ラス・アルトゥーラス、コスタリカ(写真クリックで拡大)

3 一生交尾
アニソモルファというナナフシは、成虫になってから死ぬまでずっと交尾し続けるそうだ。オスが死んでからも、メスがオスの死体を胴部の先からぶら下げて歩いている。「がぼん!」

4 枝と交尾
メキシコに生息するファノクレス・ホルニという種のオスは、とにかく交尾をしたがる。メス1匹に3匹のオスが同時に交尾していることもあったり、枯れ枝と交尾しているオスもいたりするそうだ。「どういうことやねん!」ちなみに、学名のホルニは、「性的に興奮状態の」を意味する。

5 オスなしで繁殖できる種も
単為生殖(メスが単独で子をつくること)を行うものがいる。その種数も少なくないそうだ。

6 標高5000メートルでも棲息
南米のアンデスの高山地帯に生息するモンティコモルファ・フラボリンバタという種は、標高5000メートルでも確認されている。植物がほとんど生えない雪と岩の狭間の極限の世界で一体何を食べているのかが気になる。

7 ナナフシは14節
「ナナフシ」だから7つの節があるのかと思いきや、そうではない。頭からおしりの先まで数えると、全部で14の節がある。「七」はたくさんという程度の意味らしいが、個人的にはジュウヨンフシよりナナフシの方が響きがよくて好きだ。

 ところで、コスタリカには100~150種ほど棲息していて、そのうちの半分にはまだ名前(学名)がついていない。新種だらけのナナフシの世界。そこには不思議の世界がまだまだ広がっているに違いない。

ナナフシの種の同定 by Oskar V. Conle & Frank H. Hennemann 
参考URL http://www.phasmatodea.com

西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html