第9回 眠れない人、眠らない人

致死性家族性不眠症

 最近ぼくにもわかってきたのは「不眠」の原因には「外的環境」と「内的環境」がある、ということである。野外のテントなどのほうが安眠できる、というのは外側の環境が厳しいから、内側のたとえば仕事や人間関係のストレスなどが心にしのびよる隙間がない、というコトがあるのではないだろうか。

 冬の夜の暖かくて快適な寝室で寝ると、外側には危険は何もないから、心の内側にある精神的な不安や問題が次々とふくらんでいって脳を刺激し、安眠を妨げる、というような仕組みの差があるような気がする。

 一番質のいい睡眠は、どの季節を問わず、午後に疲れてちょっとベッドに横になっているうちに、気がつくと寝入っていた、というやつである。まあ簡単にいえばヒルネ。これは体と精神にとてもいい作用をもたらしているな、ということが感覚的にわかる。第一、ヒルネができる、というのは条件的にとても贅沢なことである。

 スペインというとシエスタと呼ぶヒルネが社会習慣となっている、と聞いていたが『ナショジオ』2010年5月号の特集「眠りの神秘」を読むと、これまでシエスタによって仕事の生産性があがり、心臓病のリスクも低下するという利点があったが、近頃は昼休みに帰宅して昼寝をとるほど職場と自宅が近くにある人は少なくなり、この習慣も次第に一般的ではなくなっているらしい。

 さらにこの特集には「不眠」に関する驚くべき奇異な事例が出ている。

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