第9回 眠れない人、眠らない人

『ナショナル ジオグラフィック』2011年7月号に面白いデータがあった。

「動物の睡眠時間」というコラムで、それを見ると哺乳類ではウマが2.9時間と一番短い。場合によっては半日ぶっ続けで走らされたりするのにそんな睡眠時間で大丈夫なのか。人ごと、というかウマごとながら心配になる。次いでウシが4時間。3位がなんと人間で8時間。ウサギが人間より少し多く寝てチンパンジーが9.7時間。キツネが9.8時間。イヌは10.1時間でネコは12.5時間。まあたしかにあいつらは暇さえあれば寝ているものなあ。このなまけものめ。ウマを見習いなさい。ライオンはさらに悠長で13.5時間も惰眠をむさぼっている。トビイロホオヒゲコウモリはサカサになりながら19.9時間も寝ている。なんちゅう奴なのだ。

 このコラムの解説によると動物はエネルギー効率と安全のために睡眠時間をさまざま工夫しているからこういう結果になるのだ、という。ペットとなっているイヌやネコがいつまでも寝ていられるのは人間の庇護のもと「安全」が約束されているからだろう。果して安全かどうかわからないサバンナで13.5時間も寝ているライオンは、寝ていてもその存在感が「安全」、という好条件によるようだ。ゾウがあの大きな体なのに一日に3時間ほどしか眠らない、という。これは警戒のためではなく、あの巨体を維持するために絶えずなにか食べている必要があるからだという。寝る間も惜しんで食っている、というわけだ。そういえば人間だって太っている人は絶えず何か食べている印象がある。太っている人間も体力を維持するために、より多くの食べるための時間が必要で、代償として睡眠時間は短くなっているのだろうか。