そもそも、私が犬橇をやることになったコトの始まりは、1つの出会いだった。
すっかり紅葉の季節になった9月。
冷たい風がひゅるひゅると吹いて、冬ももうすぐという日、友人からある人物を紹介したいと話があった。
待ち合わせ場所は、市民集会。
その集まりは、油田や天然ガス開発からアラスカの自然を守るための署名を集め、ホワイトハウスに送るためのものだった。
紹介されたのは、その活動家の1人、シュレットナーさん。私に会うなりハグをして、
「娘があなたのことを待っているから、行ってあげてちょうだい」と言うのだ。