第4話 すべては運命に任せて……どすこい!待機

 道路のアクセスが少なく、小型機で飛んでいくことも珍しくないアラスカにおいて、フロンティア時代からの古い冗談かと思うくらい、そういう話はよく耳にする。

 が……、まさか自分が乗る機種が、冗談でも笑えない機種だとは……。

 しかしながら、私は刹那に覚悟を決めた。
「ま~、落ちたときは、落ちたときだ」

 ところが、午後4時。
「今日は、飛行中止」というアナウンスが流れたのである。

 朝の9時から、下着という下着を全て重ね着をして、何冊もの本を服の間に詰め込んで、動きづらい体を耐えながら待合室で座っていた私は、それだけで、1日が終わってしまったのだ。

「今までの時間は、いったいなんだったの~」
 と嘆いている私に、受付の女性がこう言った。
「仕方ないのよ。ここはアラスカなんだから」

 まったくもって、ごもっとも。

 しかしそれから、次の日も、その次の日も、私はどすこい待機を耐えることとなり、やっと飛んだのは、出発予定日から5日後のことだった。

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つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/