第5回 ゲリラ豪雨や竜巻の被害を減らすには

 件のプロジェクトでは、それらを受けて、救助活動、危機管理、社会基盤、生活・教育の4つの分野でそれぞれ定着させることを目標に置いている。近い将来、「ゲリラ豪雨警報」や「竜巻警報」がインターネットや自治体の防災無線などでも共有されるだろうし、まるで明日の天気予報を見るように、数時間後、数10分後の積乱雲の発生を気にする人も多くなるだろう。これは交通関係の職員や、工事現場で働く人のみならず、スポーツ少年団の指導者や、休日に埠頭での釣りや川沿いの公園に出かけようと考える保護者にも浸透するだろう。

 ぼく個人としては、恐ろしくも荘厳で、威風堂々とした積乱雲を、もっと多くの人が見上げればよいと思う。たしかにそれはしばしば被害をもたらす、非常にやっかいなものだ。しかし、我々の日常の中で、もっとも美しく力強い存在のひとつでもあって、見上げて愛でたり驚嘆したりするに足る。とても矛盾したことを言っているようだが、それでも、積乱雲を見上げる人たちが増えた社会は、きっと今よりも災害にも強いと、素朴に信じている。

(写真クリックで拡大)

おわり

真木雅之(まき まさゆき)

1954年、愛媛県生まれ。理学博士。防災科学技術研究所観測・予測研究領域長。筑波大学連携大学院教授。1983年、北海道大学大学院理学研究科修士課程を修了。北海道大学理学部を経て、85年に国立防災科学研究所に入所して以来、気象レーダの開発および気象レーダによる自然災害の研究に携わる。2000年よりマルチパラメータレーダによる降雨量推定の研究を開始。現在は文部科学省科学技術振興調整費プロジェクト「気候変動に伴う極端気象に強い都市創り」研究代表者を務め、首都圏Xバンドレーダネットワーク「X-NET」による豪雨・強風監視技術の構築に向けた研究プロジェクトを進めている。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider