第4回 竜巻の内部がついに見えた!

 竜巻の強さを示す尺度に、日本人の名を冠した藤田スケール(Fスケール)がある。アメリカではF3から最大のF5が観測される。日本は今まで一番大きいのでもF3ぐらいで、この前のつくばでの竜巻はF2とされている。ただ、建物の倒れ具合からF3ではないかと言う研究者もいるそうだ。

 いずれにしても、アメリカの方が竜巻被害は深刻であり、研究もその分、進んでいる。

「例えばMPレーダを使って竜巻を見つけられるのかというのは1つのチャレンジで、アメリカではスーパーセルができると、レーダをできるだけ近くまで持っていって観測していますね。トルネード(竜巻)ハンターといって趣味でやってる人もいるし、研究でやっている人も当然います。VORTEXと名付けられた研究は、去年あたりまで、かなり大きな予算を使って100人ぐらいが参加して、2年がかりの大プロジェクトをやっていました。これらの研究から、竜巻自体をレーダで見ることができるようになりまして、内部の構造やどの位の風が吹いているのか、どのようなものが巻き上げられているのかが明らかにされつつあります」

 真木さんは、スーパーセルの内部構造を示しながら解説してくれた。まず、驚いたのが、その複雑さだ。複雑ながら、秩序がある。雨の領域、ひょうの領域、竜巻によってまきあげられたデブリ(木々や建物の破片)が、それぞれ高度とともに違った様子を見せる。下の図はスーパーセルの内部を違う高度で輪切りにしたものだが、それをじっくり見て、頭の中で立体構造を想像していただければ、それが理解いただけると思う。

竜巻をもたらすスーパーセルの内部構造とMPレーダのパラメータ。図(a)はスーパーセルの地上付近の反射強度および上昇流・下降流の分布。反射強度35dBZの等値線は、フック状(かぎ状)エコーと呼ばれ、しばしばその先端で竜巻が発生する。図(b)は高度5km付近のMPレーダパラメータの分布を図(a)に重ね合わせて示したもの。強い雨域を示す柱状のKDPがフックエコーの上層部に見られる。大きな雨粒の分布の存在を示すZDRは、図(a)ではアーク状をしていたのが、中層では柱状あるいはリング状のZDRとして観測され、地上付近の様子とは大きく異なっていることがわかる。このような特徴的な分布はスーパーセル内の気流構造によって決まる。すなわち、降水粒子や地上から巻き上げられたデブリが竜巻やスーパーセル内の上昇流や下降流によりふるい分けられた結果である。(RFD: 後方の下降流、FFD: 前方の下降流、V: V字形の溝、U:強い上昇流域、H: フックエコー、TDS: トルネードデブリ指数、ZDR: 反射因子、ρHV: 相関係数、KDP:比偏波間位相差)
(画像提供:真木雅之)