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「──遠くない未来に目指してるのが、10分前のゲリラ豪雨の予測です。そのためには、積乱雲の内部にある降水コアをいかに検出するかというのが大切です。『速く』、『早く』と、ふたつの、『はやく』が大切だと考えています。ひとつめの『速く』ですが、Xバンドや、もう少し波長が短いKuバンドのMPレーダを使って、出来るだけ速く空をスキャンします。数10分で終わってしまう現象ですから、5分間隔では時間的な分解能が十分ではないんです。それこそ2、3回、観測する間に現象が終わってしまうわけです。できるだけ速くスキャンして積乱雲の時間変化や降水コアを捉えたい。気象研究所のKuバンド(波長2センチ程度)やX-NETでは、セクタースキャンという特別な観測方法で、積乱雲の立体的な構造の変化を1分から2分間隔で捉えることが出来るようになりました」

 研究用の気象レーダーは、全天をすばやくスキャンする。一度、積乱雲を見つけたらそのまま、ずっと同じものを観測し続ければよいと素人としては考えるのだが、そもそも積乱雲が発達するような状況では、他の場所でも出来ているかも知れない。「速く」スキャンして、多くの雲を見た上で、それらが発達する積乱雲なのかどうかの兆候を見極めなければならない。これも今後の大事な課題だそうだ。

「──もう1つの『早く』、なんですが、雲ができていても雨粒が成長する前、さらには雲ができる前の段階から前兆現象をとらえたいということです。これらには、別の観察手段が必要です。雲自体の観測は、雨粒よりも小さな雲粒子を捉えることができる雲レーダを開発しています。雲粒は小さいので、それに見合った波長1センチほどのKaバンドを使います。そして、雲ができる前の晴天大気の観測に有効なのは、気流を見ることができる光の波長を使うドップラーライダーですね。さらに、大気中の水蒸気量を観測するためにGPSの情報を使えないだろうかということで研究をしています」

数10分で終わる気象現象なので、なるべく前もって、かつ、スピーディーな観測体制が求められる。(写真クリックで拡大)

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