「高専は高校とは違って、5年間いきます。大学の教養課程相当の資格で就職をするのが常だったんですが、何とか気象観測に携われないかということで、大学に入り直したんです。北海道大学で、研究テーマは夜間冷却という、のちのち研究することになる雨とは関係ないものでした。接地境界層(地面と「大気」の境界)で、冬の晴れた夜、どれくらい地面の温度が下がるか、気温が下がるかと、そういう研究で学位をとりました」

 聞くからに寒そうな研究なのだが、実際「気温マイナス42℃というような経験をしました」とのこと。

「いざ就職をしようと研究職を探しているとき、ちょうどタイミングよく、防災科学技術研究所で求人があって手を挙げまして、それから今に至るまで、気象レーダを使った災害の研究をしてきました。富士山頂の気象測候所で働きたいという夢はあったんですが、残念ながらもうなくなってしまいましたね」

 というのが、造船技士志望の若者が、観天望気に目覚め、気象レーダという人工の目を使った研究に手を染めるまでの物語。そこから先、長年の研究史を「省略」させていただいて現在の一大プロジェクトに話を移すと、その中核にあるのが、新型のレーダ観測機器だということになる。

真木さんの研究室にあった気象研究者必須の七つ道具の一部を拝見。左は通風乾湿計で、日誌をつけるときには必ず見るという。右は人の髪の毛を使うなつかしの毛髪製湿度計。(写真クリックで拡大)

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