これらを含めた多くのことが、青い海に覆われ、多様な生き物が暮らすこの世界に依存している。地球において、私たち人間は新参者にすぎない。世界を形作る生命の基盤は何億年という年月の間に、ときどき起こる大激変に対応して繰り返し形を変えてきた。隕石の衝突による恐竜の絶滅もその一つだ。こうした大激変に直面したとき、多様な形態の生命があるからこそ、その基盤は再構築され、再び安定に向かうことができる。

 生物はその多様性が少ないほど、病気や気候の変化などによるダメージを受けやすい。多様性に富んでいれば、どこかに生き残るものが出てきて、状況に応じて繁栄する可能性も高くなる。キンポウゲの花が全部同じ時期に咲いたら、遅れて着いたハチの群れには授粉できる花がもう残っていないだろう。すべての人間がペストや結核に同じようにかかりやすかったら、人類はとっくに絶滅していたかもしれない。

 地球上の生物多様性を維持するための取り組みとして、国際自然保護連合(IUCN)が、絶滅のおそれのある野生生物を記載した「レッドリスト」を作成している。これまでに評価が行われたのは何百万とも言われる種のうちわずか5万種ほど。例のごとく陸上の生物が優先されてはいるが、多様性は明らかに低下していて、鳥類の8種に1種、哺乳類の4種に1種、両生類の3種に1種、花をつける植物の73%が絶滅の危機に瀕している。

 一方、海洋生物種に関する報告によれば、2008年の時点でサメとその関連種の17%が絶滅危惧種、13%が準絶滅危惧種に指定され、47%は情報不足のため意味のある評価が不可能とされている。

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