第6回 失われる生物多様性

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

 「海の生き物の数や種類なんて、どうして気にしなきゃならないんですか?」

 「あんなくねくねした気味の悪い生き物、いったい何の役に立つんですか?」

 「恐竜もマンモスも絶滅したし、今じゃリョコウバトだっていなくなった。それでも地球は回っているじゃないですか」

 「サメやクジラが消えたら何が変わるというんですか? サンゴ礁だって、別になくてもいいじゃないですか?」

 私たちが海の生物についていかに知らないか、ここ50年で海の生物がいかに失われてきたかを世界中で訴えている私は、上のような質問をたびたび受ける。けれども、私たちが失いつつあるのは個々の種だけではない。まだ名前もつけられていない、自然のなかでの位置づけもわからない、たくさんの生き物たちが棲む生態系全体が失われつつある。

 こうした質問への最善の答え方は、逆にこう聞き返すことだ。

 「それなら、火星に引っ越してみたらいかがですか? あそこならくねくねした気味の悪い動物なんていませんよ。でも、息はできないし、水も飲めない。暮らしやすい気候はどうです? あなた自身や愛する人たちの幸せな未来も、あきらめるんですか?」