第1回 ゲリラ豪雨、竜巻、ひょう、雷は予報可能?

「今、わからないのは、個々の積乱雲のふるまいや、いつ発生するのかという部分なんですね。そこがプロジェクトの中でメインターゲットになっています」とのこと。

 では、そのターゲットになっている積乱雲そのものについて、まずは既知の部分を押さえておくべきだ。真木さんに解説していただいた。

「まず積乱雲というのは、簡単に言えば、強い上昇流があって、そこで雲が成長する条件が整った時にでき、さらに強い雨が降る現象だと言えます。ただ、いろいろな形態があります。大きく分けて3つくらい。ひとつの積乱雲だけのシングルセル。それがいくつも集まった、マルチセル。そして、巨大なひとつの積乱雲、スーパーセル……」

 真木さんは、ひとつひとつ図を示しながら語った。シングルセルやマルチセルは、被害をもたらす激しいものと、それほどでもないものがある。一方、スーパーセルは竜巻や強烈なひょうを伴う激しいものだ(それが定義の一部にもなっているようだ)。

 日本ではスーパーセルはそれほど多くなく、むしろ、シングルセルやマルチセルでの被害がしばしば起きる。

「普通のシングルセルの積乱雲で、一番よく見られる標準的な積乱雲は、寿命が20分くらい。シングルセルでも、それよりも長い時間、30分以上持続し降ひょうや突風を伴うものをパルス型と呼んでいまして、これが被害をもたらします。一方、マルチセルにはクラスター(かたまり)になったものと、ライン状になったものがありまして、ライン状のものは激しい雨が降るスコールラインをつくる場合があります。今年の7月中旬に九州北部で被害をもたらした豪雨は、バックビルディング型という進行方向の後方に次々と新しい降水セルを発生させるスコールラインによるものでした」

(写真クリックで拡大)