イエメンの南端、アデン湾に面したバーブ・アルマンデブ。ここには対岸のアフリカから大量の難民たちが流入する。写真の女性は25歳でソマリア出身。ジブチから密航船で海を渡り、人道支援団体が運営するこの施設にたどり着いた。撮影したシンクレアは2011年6月号の特集「幼き花嫁たち」の取材でもイエメンを訪れていて、今回の仕事は自ら志願した。「この国は重大な社会問題を抱え、激変しつつあります。その現状を取材できる絶好の機会を逃すわけにはいきませんから」

――エイミー・コーザック

レンズの裏側

――この女性がイエメンに来たいきさつを教えてください。

シンクレア:彼女は夫と離婚していて、およそ4万円相当の資金を貯め、6人の子供たちを母親に預けて独りで来ました。イエメンへの渡航を仲介するブローカーに10日間食べ物を与えられず、柵で囲った場所に閉じ込められた後、密航船に乗せられたそうです。

 イエメンではメイドの仕事を見つけて、5年ほど働いてお金を貯めたら、帰国するか、家族を呼び寄せたいということです。子供と別れてこの国で働くほうが稼げると考えるなんて、祖国でよっぽどつらい目に遭ったのでしょう。家族のために危険を冒そうと決断した、本当に勇敢で強い女性です。

――治安の悪いイエメンで取材中、どうやって身を守ったのですか?

シンクレア:道路を通るときには、目の部分だけが開いているベール「ニカブ」を頭からかぶりました。検問所によっては、2枚かぶって目も隠したことがあります。おかげで、男性だったら取材できないような場所にも行けました。