第32回 コスタリカより暑い! 大阪の夏

アラゴアサ属のハムシ(甲虫目:ハムシ科:ヒゲナガハムシ亜科:ノミハムシ族)
A mating couple of leaf beetle, Alagoasa sp.
交尾中で、メスは葉の表面をかじってお食事中だ。ここモンテベルデのバイオロジカルステーションにこれまで何十回も行っているが、今回の帰国前に初めてこんなメタリックなノミハムシに出会えた。この色どりに魅せられ、何回も息を呑みながらシャッターを切った。
体長:8 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

 この夏、一時帰国して実家のある大阪で過ごしているのですが、いや~大阪の夏は暑いです。汗が一日中だっらだら噴き出しております。

 日本のみなさんからは、コスタリカはもっと暑いでしょう~? とよく聞かれるけど、こんなに暑くはない。熱帯雨林のジャングルとて、朝晩は緑や土のおかげで、気温はある程度まで下がる。

 それに引き換え、コンクリートやアスファルトのジャングルとなった大阪は、街が昼間に吸収した太陽エネルギーを太陽が沈んだ夜も放熱させているので、生きものにとっては、たまったもんじゃない。

 太陽エネルギーを「死をもたらすような熱エネルギー」に変換させるのではなく、命のエネルギー、すなわち「生命を育むエネルギー」に上手く変換されていないのが残念だ。

 こんな暑い中、気になっているのがコスタリカを出発する直前に採集した昆虫たちのことだ。

 飼育しないといけない、卵や幼虫や蛹は、冷蔵庫に入れてきた。気温を低くして少しでも成虫になるのを遅らせるためだ。コスタリカに戻ったころにちゃんと標本にできるように・・・という計算だ。温度設定は「弱」、5~6℃にしてある。飼育が上手くいくかどうかは全くわからない。

 データだけが必要な昆虫たちは、標本にする時間がなかったので、採集地だけを記載して、ビニール袋や容器ごと、冷凍庫に「これでもか!」と押し込んできた。

 でも、停電が時々あるコスタリカ。自宅の冷蔵庫は1秒でも停電になると、温度調節の設定が「弱」から勝手に「中」に戻り、冷蔵庫内が冷えすぎてしまう。気付かずにいると、野菜なんかが凍ってしまったりするうえ、長く続くともちろん電気代も高くつく。

 帰国中に停電になっていないことを祈るばかりだ。
 今回は、帰国直前に出会った昆虫たちの一部を写真でご紹介。

冷蔵庫の冷凍庫内
Inside of freezer
コスタリカの自宅の冷凍庫。びっしりと標本が詰まっているようだけど、豚肉や鶏肉や納豆なども冷凍してある。殺虫用(冷凍して虫を殺す)にもよく使う。停電対策に保冷剤もたくさん入れてある。
撮影地:サン・イシドロ・デ・コロナド、コスタリカ(写真クリックで拡大)
テロニミア・ラティラ トンボマダラチョウのオス(鱗翅目:タテハチョウ科:マダラチョウ亜科:トンボマダラ族)
A male clearwing, Pteronymia latilla fulvescens
スカシマダラとも呼ばれているマダラチョウの中でも透明から半透明の翅をもつチョウたちが多くコスタリカに生息している。森の中にある民家の花壇に来る種類も少なくはない。キク科のアゲラトゥムの花の蜜を吸っているところ。
前翅長:28 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
ヘリカメムシの一種の幼虫(カメムシ目:ヘリカメムシ科)
A nymph of leaf-footed bug
翅をもたない幼虫期のカメムシが派手な色彩(警戒色)をまとっているのをよく目にする。飛んでサッサと逃げられないので「食べても美味しくないよ」というのを捕食者に強くアピールしているのだろう。
体長:7 mm 撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html