第56回 イギリス人の大好物、バノフィー・パイとは?

 前回は、簡単に作れるイギリスの夏菓子をご紹介したが、英国菓子研究家の山口ももさんの本の中で、もう一つとても手軽に作れる、あるイギリスの定番菓子が目を引いた。なんと、第34回でご紹介した、ペルーの「マンハール・ブランコ」と同じ作り方をする練乳クリームを使うお菓子があったのだ。

 マンハール・ブランコとは、加糖練乳(コンデンスミルク)の缶をそのままお湯に入れ煮詰めて作る飴色の練乳クリームのこと。イギリスでは、日本のキャラメルのようなお菓子「トフィー」として、これを使う。トフィーを使うお菓子の名前は「バノフィー・パイ」。バナナと泡立てたダブル・クリームを載せたトフィーを具材としたパイだ。

 「シンプルなのに、とても美味しい」と、ロンドンでバノフィー・パイと出会い強い印象を受けた山口さん。このお菓子を発明した、イギリス南部の村にある人気レストラン「ハングリー・モンク」(現在は閉店)まで出かけて行ったそう。

 このパイは1972年に同店のシェフが考案したという、伝統の国イギリスからすれば比較的新しいメニュー。でも、今やなんとイギリス英語の“広辞苑”とでも言うべき「オクスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー」にも載っている“由緒正しい”英国定番菓子なのだ。バナナ+トフィーだからバノフィー、というネーミングは、お店のオーナー氏が急遽付けた名前を、スタッフがみな気に入り定着したものなのだそうだ。