第1話 深い荒野にきらめくピンクサファイアの粒子

 犬たちの足が一斉に大地を蹴り出し、駆ける足が次々に繰り出される。

 ザーッと滑る音が切れ間なく乾いた風に乗り、まるで勢いづいた高速列車のように橇は走った。

 夕日を受けて、まっピンクに染め上げられているアスペンの林を抜けて、風を切るように坂道を駆け下りて行くと、そこは広大無辺、まっ平らな場所に出る。

 遠くには、標高6194メートル、北アメリカ最高峰マウントデナリ(マッキンリー)が鎮座し、その横にはマウント・フォーレーカーが寄り添う姿が現れる。

 アラスカ山脈の麓からわずか100キロ。ミンチュミナ湖の氷上だ。

 氷上に浮かぶ真っ赤な太陽に向って、走る犬たちの息が、ピンクサファイアの粒子のように煌めいていた。

 犬たちの背中が、真っ直ぐに遠くの地平に向う。その背中を見ていると、私の胸は感動でいっぱいになるのだった。

 どうして、犬たちは、こんなにもひたむきなのだろう?

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