第3回 旅をしても小説が書けなくなった!
――ある時期から旅が変わったというお話がありましたね。
33か34歳のころですか。まずバックパッカー的な旅が楽しいと思えなくなったというのがあります。安宿に泊まって、自分と同じように薄汚れた格好をした人たちと話をするのがだんだん億劫に思えてきました。
1人旅をしていて、人から声をかけてもらえなくなったのもそのころです。
以前は、行けば誰かと出会い、お勧めの場所に連れていってもらえたから、目的を持たなくてもただ行けばよかった。それが旅だと思っていました。
しかし、そのときからは、行くだけでは何も起こらないし、何も見られないことに気づいて、美術館なりお城なり、何かしら目的を設定していくようになりました。