第53回 オリンピック発祥の地の心温まるスイーツ

スプーンひとさじに温かいおもてなしの意味が込められたグリコ・クタリウ。これは、サクランボの砂糖煮。レモンが入っているので、爽やかで美味しい(写真クリックで拡大)

 「だから、ふいのお客さんが来ても大丈夫なように、ギリシャの家庭ではグリコ・クタリウを常備しておくんです」と大倉さん。材料は、サクランボやオレンジ、ブドウなどの果物から、スイカの皮やナスといった日本人から見るとちょっと変わったものまでバラエティーに富む。ピスタチオやメロンの産地に行けば、その土地の名産品を使ったグリコ・クタリウがあるらしい。

 作り方はシンプル。材料を砂糖と一緒に1時間ぐらいトロリとするまで煮るだけ。美味しさのポイントは、レモン汁を入れることだそうだ。

 「ギリシャには、日本で見るものより大きなレモンがあって、皮をグリコ・クタリウにするんだよ。すごく美味しいんだ」とシェフのニックさんも教えてくれる。果肉を使わないのは、煮込むとどろどろになってしまうからだそうだ。そう、ギリシャの砂糖煮作りのもう一つのポイントは、材料の形が残るように煮ることなのです。

 「最初に甘いものを出すことで、“これからあなたとの関係が甘くなりますように“という意味を込めているんです」と大倉さんは言う。おお、それは思わずマネしたくなるような習慣ですね。でも、最近の若い人の間では、グリコ・クタリウの習慣はすたれてしまっているらしい。とても残念だ。

左:今回「エーゲ海」でごちそうになったグリコ・クタリウの材料。上から反時計まわりに、レモン、砂糖、サクランボ。右:果物の形が残るように鍋でことこと1時間ほど煮る(写真クリックで拡大)