第3回 自然欠乏症候群が子どもをむしばむ

 たとえば、自然の中では、遠くも近くも見るし、上下左右に視線が活発に動きます。けれども家の中にいて、週に何10時間もテレビを見たり、テレビゲームをしている子や、机にかじりついて勉強ばかりしている子は、目の前のものだけを見ていれば済みますね。視線を活発に動かす必要はない。

 感覚は、使わなければ鈍っていくものです。子どもの場合は、使わなければその感覚は発達しにくくなる。これは大問題だと思います。なぜ、日本では話題にならないのかな。

 カナダのブリティッシュコロンビア州では、1週間に最低2時間は子どもを自然の中で過ごさせることを奨励しています。

 僕は、1週間にではなく、1日に最低2時間はそういう時間がなければいけないと思う。子どもたちにこそ、自然と触れ合う場所と時間、森が必要なんです。

――しかし、日本の多くの森は放置され、荒れていくばかり。再生の道はあるのでしょうか。それを最後にうかがいましょう。

「子どもたちにこそ、自然と触れ合う場所と時間、森が必要なんです」(写真クリックで拡大)

つづく

C・W・ニコル(しー だぶりゅ にこる)

1940年、英国南ウェールズ生まれ。作家。財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団理事長。17歳でカナダに渡り、海生哺乳類の調査に携わる。1967年、エチオピア政府野生動物保護省の猟区主任管理官に就任。シミエン山岳国立公園を創設し、公園長を務める。1962年、空手の修行のため初来日。日本の自然に魅せられ、1980年、長野県に居を定め、執筆活動を続けるとともに、1986年に荒れ果てた里山を購入。『アファンの森』と名付け、森の再生活動をスタートした。1995年、日本国籍を取得。近著は『C・W ニコルの生きる力 (ソリストの思考術)』(六耀社)、『けふはここ、あすはどこ、あさつては―C・W・ニコル×山頭火の世界』 (共著、清水弘文堂書房)など。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。