第3回 自然欠乏症候群が子どもをむしばむ
――焚き火は子どもたち、大喜びするでしょう。
喜びますね。でも、焚き火のやり方もきちんと教える必要があります。森の中では、決まった場所で焚き火をすることにしているのですが、焚き火をすると、男の子たちは火のついた薪を持ち歩いて、どうかすると別のところで火を焚こうとするんです。
それを見て僕はすごく怒るのだけれど、日本の大人たちは怒るということをあまりしませんね。
――怒るにも怒れないのではないですか。今の親の世代も、子どものころの自然体験が希薄なまま大人になっているから。
それはあるでしょうね。自然とつきあう経験がなければ、森の中でやっていいことと、いけないことの区別もつかないでしょうから。
――そのせいでしょうか。もうひとつ困るのは、自然の中で子どもがやっていいことまで、大人が制限してしまう。
そう、それが問題。文明国は全部そう。森に入っても、木に登ってはいけないとか。