第2回 背景に日本の消費爆発、定着した薄利多売のビジネスモデル

台湾のウナギ養殖池。露地で養殖されることが多い。
日本国内のウナギ養殖池。屋内で温度や水質を一定に保つためのエネルギー消費量が多く、コストが安い中国産に太刀打ちできないケースが多い。

 信頼できる統計は少ないが97年から2000年にかけて中国では毎年、130~180トンという大量の外来シラスウナギが養殖池に入れられたとされ、これは同時期に池入れされたニホンウナギの量をはるかに上回る。

 90年代半ばまでほとんど相手にされてこなかったヨーロッパウナギやアメリカウナギを求めてウナギバイヤーが殺到し、欧米のシラスウナギ漁師は降って湧いたウナギブームに熱狂、一漁期にして大量の富を手にした漁師も少なくなかった。

 だが、これが、この時既にかなり厳しい状況に置かれていたヨーロッパウナギとアメリカウナギの資源状況を急激に悪化させる。特にヨーロッパウナギの状況は深刻で、2007年のワシントン条約の締約国会議で、条約の規制対象とされ国際取引の規制が決定されるまでになる。2010年には、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種リスト(レッドリスト)で「近い将来の絶滅の危険が極めて高い種」とされるまでになった。

 この時期、日本人はほとんど知らないうちに、大量のヨーロッパウナギを胃袋に収め、資源の急激な減少の原因をつくっていたということになる。今ではほとんどの州で漁業が禁止されるようになったアメリカウナギについても同様で「日本のウナギの大量消費が世界のウナギの危機を深化させた」との批判は免れないだろう。