ポーテッジは木に囲まれた森の道です。
この地に初めて人間がやってきてから、いったいどれくらいの人数がこの道の上を歩いていったのでしょうか。
よく踏み固められた道には松葉や松ぼっくりが積もり、一歩足を踏み入れると、松ヤニの樹脂の香りが鼻につきました。
道の外側に目をやると、そこを歩く人はいないのか、森の地面は緑色の苔に覆われ、いくつもの枯れ木が横たわっていました。
あたりに漂う、少し苦みを帯びたような有機的な香りは、枯れ木が分解され、再び土にもどっていくときの匂いかもしれません。
上を見上げると、松やトウヒが、かすかな太陽の光でも逃すまいと、空を覆うように枝を広げています。
そのせいであたりは薄暗く、ポーテッジのなかはまるで、次の湖へと続くトンネルのようでもありました。