「だまっていることは、人の話に耳を傾ける最良の方法でした」 (C)TEDxTokyo

 しゃべるのをやめてみて、初めてわかったことがある。

 「それまでは人と話していても、相手の話をちゃんと聴いたことなどありませんでした。なんとか自分をよく見せたくて、次に自分が何と言い返そうかとばかり考えていたのです。これではコミュニケーションになりません」

 だまっていることは、人の話に集中し、耳を傾ける最良の方法だった。話すのをやめたら、「聴く」ことが、そして「学ぶ」ことが始まった。以前なら途中で異論をさしはさんでいたような他人の話も、じっくり聴いてみると、うなずけるものがあった。こうして人生が大きく変わっていった。

 沈黙の日々について一番よく聞かれたのが、「でも、だまっていたらコミュニケーションは不可能でしょう?」という疑問だった。つまり、こういうことだ。

 メニューも黒板もないような食堂で、いったいどうやって、口をきかずに目玉焼きを注文できるのか?