(写真クリックで拡大)

 最後に非常に素朴な疑問を。

 消滅の危機にある言語を、なぜ守らなければならないのだろう。言語の多様性は、なぜ大切なのか。

 いっそ、世界人類の言葉を、英語か何かの共通語に統一した方が、便利なのではないか。などという意見を言う人は少なからずいる。

 そんな中、あえて、言語を守る意義とは?

 国際的イニシアティヴをとるユネスコのウェブサイトを訪ねると、意外なことが書いてあった。

〈言語の多様性が減ると、生物学的多様性が減少する〉

 もちろん、これは数ある理由の中の一つとして挙げられていたのだが、それにしてはトップページにでかでかとリンクが張られ、詳細なページが作られていた。最初、頭の中に疑問符が乱れ飛んだのだが、まあ、言っていることは理解できた。

 その土地で培われてきた言語では、植物や動物についてきちんと区別されている。しかし、言語が失われると区別も失われる。どんな種があるのか分からなくなる。それを科学者が再発見するのを待っている間に、多くのものが失われてしまう。

「へえ、そんなことが書いてありますか」と木部さんは言った。

2012年7月号特集「消滅の危機にある言語の未来」
本誌でも危機言語の特集を掲載しています。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。ぜひあわせてご覧ください。

この連載の前回の
記事を見る