「環境」という遺産を受け継ぐために(後編)

――最後に、どうやってパラダイムの変化を進めていくか、教えてください。

 持続可能性に関する教育が必要です。力を結集することで変えていくのです。現在と未来のために、私たちはただ漫然と暮らすのではなく、意思を行動で示すようになると信じています。そうなれば、エネルギーを節約したり、ゴミを分別したり、あるいは政治の代表者を選ぶといった持続可能性に関わる行動は、決して荷が重いものにはならないでしょう。

 持続可能とは、たとえるなら目に見える翼というよりも、私たちの内部に本来備わって私たちを突き動かすモーターと言えるでしょう。本質的な、理想の生活様式として理解すべきものです。

 知るだけでは不十分で、実際に参加しなければなりませんが、知識が知恵となるには長い道のりが必要だと思います。パラダイムを変えるのはきわめて大規模な変化であり、一個人や一団体の努力だけでどうにかなるものではないからです。全員がいっせいに動くことが大事ですが――今こそ、その時だと私は考えています。

 また、これは単に適応の問題というより、むしろ、ある意味で、これまでの生活様式に“適応しない”ことが大切だと思いますね。言うなれば、創造的な不適応であり、生産的な中断です。私たちが求めた変化が今後、社会にどう影響するのか今はまだわからないとしても、皆が生活様式を変えることで、目にしたくないような世界の姿を食い止めることはできるはずです。

ナショナル ジオグラフィック ブラジル版 2012年5月号より

マリナ・シルヴァ(Marina Silva)

1958年生まれ。ブラジル・アクレ州のゴム・プランテーションの貧しい家庭に育つ。16歳で就学し、働きながら州立連邦大で歴史学を学んだ。94年、女性として史上最年少の連邦議会上院議員になり、2003年から08年までブラジルの環境大臣。国際的な環境賞であるゴールドマン環境賞やソフィー賞を受賞。