しかし、ぼくたち日本人にとって馴染みのある湖、たとえば、山奥の川を塞き止めて作ったダム湖や、火山活動によってできたカルデラ湖などは、高い山の奥や麓に独立した水たまりとして存在しています。

 これまでぼくが「ノースウッズに無数の湖がある」と説明しても、なかなか日本人にその真の姿が伝わらないのは、この地方に高い山がなく、おなじ「湖」ということばでも、そこからイメージする風景が大きく異なることが原因かもしれません。

 ノースウッズ特有の地形を理解するためには、その成り立ちの歴史をすこし説明する必要があると思います。

 ノースウッズの地質のほとんどは、カナダ楯状地(=Canadian Shield)と呼ばれる、広大な岩盤に覆われています。

 その岩盤は、ミネソタ州北部から北へ、カナダ中央部を越え、ハドソン湾をぐるりと囲むように広がっています。

 その歴史は古く、5億年以上も昔の先カンブリア時代に形成されたといわれています。プレートの境界から遠く、火山活動もないので、地震もまず起きることのない安定した岩盤です。

 ちなみに、ぼくが最初に目指したイリーの町は、イリー・グリーンストーン(=Ely Greenstone)と呼ばれる、約27億年前に形成された緑色の岩石が取れることで有名です。それは、地表で見られる世界最古の岩石のひとつだと言われています。

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