第4章 1921-1956 カラー革命と第一期黄金時代

第20回 ナショジオが報道写真の本流から外れたわけ

 前回は第二次世界大戦期間中にナショジオの地図が好評を博したことを紹介しました。なので、今回は記事をざっと眺めてみたいと思います。

 第一次大戦のときとは違って、協会のスタッフが何10人も兵役につくようなご時世にもかかわらず、『ナショナル ジオグラフィック』の記事はどれも饒舌で、しばしば底抜けに陽気でした。

 当時の主要メディアが流した戦争報道は暗いものばかり。戦場の写真を繰り返し掲載した新聞や雑誌と比べると、ナショジオのトーンは明らかに異色です。戦地の記事でもナショジオに戦闘シーンの写真が掲載されたことはほとんどありません。

 なぜか。

 それがグロブナーの一貫した編集方針だったからです。第3章第2回で紹介した「ナショジオの7大編集方針」の6番め、「国や民族については、本質的に親切な記事に限る。不快だったり、過度に批判的だったりしてはならない」というわけです。

 グロブナーの編集方針の根底にあるのは当然「地理知識の向上と普及」という協会の使命です。そこから外れてしまったら、ナショジオとしては意味がない。