最終回 大地震の断層サンプルをゲットせよ!

タカイさんは岩石サンプルからガスを採取。「水素、あるで!」(写真提供:JAMSTEC/IODP)
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 「水素異常が出てきたら、私にすぐに知らせてくれとタカイさんに頼んでいます。それを私はTAKAIアラートと呼ぶことにしました。地震による断層構造というのは大体数ミリから数センチメートルくらいの厚さしかないと考えています。分析するためにサンプルを切ったりほじったりしてサンプル内部にある断層を壊してしまうと一巻の終わり。TAKAIアラートが発動されたら、そのサンプルの処理はいったんストップさせます」

 タカイがアラート出してコータローがこれだ!と指を差す。そういう布陣が組まれました。

 「断層を見つけるために、こんな分析方法を採るのはもちろん初めての試みです。うまくいくかはわかりません。むしろ可能性は低いとは思います。でもわずかでも挑戦する道があるなら、やらないという選択肢はありませんからね」

 ここから魂を削る戦いが始まりました。船上に回収されてくるすべての岩石のガス分析を行うことになったのです。5時間に1回のペースでサンプルが回収されてきます。そのたびにガス分析をし、CTスキャンで内部構造を確認し、どんな地層が回収できたのか観察し・・・。地震断層そのものでなくても、地震発生の仕組みを知るのに必要なサンプルですから、ラボはフル回転です。

 地球化学者のジムサンプルさんとイシカワさんは、岩石をギューと電動万力で締めつけて水を絞り出しています。岩石の中に閉じ込められていた流体の化学組成を調べることによって、地球内部のどこからどんな経歴を持ってやって来たのかを知ることができるそうです。