最終回 大地震の断層サンプルをゲットせよ!

1本目の岩石サンプルが採取されました。研究者のみなさんがジーと見つめます。(写真提供:JAMSTEC/IODP)
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 地震断層の容疑者はどこに潜伏しているでしょうか?

 「ズバリ、海底下720メートルと820メートルです。これまでに取得したデータから、この二つのゾーンの容疑を固めました。なかでも820メートル付近は日本海溝のプレート境界そのものでしょう。ただし、そこにいくつもある断層のうち、どれが3月11日に滑ったのかを判断しなければなりません。現時点で摩擦温度のデータはありませんから、船上では急きょ、ある作戦を立てました」

 新たな作戦?

 「地震が起きるとですね、断層の水素濃度が高くなるという陸上での観測データがあるんです。しかも地震の大きさと発生する水素の量を関連づけた研究成果もあります」(注:詳しくは連載「青春を深海に賭けて」のタカイさんの話をご覧ください )

 へえー。

 「つまり、14カ月前の巨大地震によって断層の岩石が破壊され、大量の水素が発生しているはずです。その濃度の高いゾーンを探せれば、地震断層を見つけられるかもしれない。そして、私たちの乗船研究チームには地震生命圏仮説に挑んでいる孤高のタカイさんがいるんです」

 そう、タカイさんは生命圏探査のみならず、急きょ地震断層特定チームにも組み入れられたのです。水素、急に注目度アップです。

メガネ美男ヒロセさんのサンプル入刀シーン。カメラの準備はよろしいですか?(写真提供:JAMSTEC/IODP)
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