第1回 「大型なのに羽毛をもつ恐竜」のなぜ?

 ユティラヌスに羽毛があったということは、白亜紀前期当時の遼寧省の気候が比較的寒冷で、羽毛が体温を維持する役割を担っていた可能性はもちろんあります。

 ただし、その点について断定的なことを言うには、今のところまだ化石による証拠が足りなさ過ぎます。繰り返しますが、羽毛の有無というのは複雑な要因によって決まるもので、なかなかその理由をどれか1つに絞るのは困難なのです。

――徐星さんの論文によると、3体分の化石が見つかっているそうですね。

 ええ、最初に2体分の化石がわれわれの所へ持ち込まれ、翌年もう1体分が同じ場所から発見されています。ただ、実はその後さらにもう1体出ているのですが、こちらはまだ分析が済んでいません。先の3体の内1体が成体(言わばおとな)、2体は亜成体(若者)です。

 同じ発掘現場からは、ティタノサウルス類(白亜紀に繁栄した植物食のカミナリ竜)の骨格も発見されていますから、あるいはユティラヌスは、群れでカミナリ竜を狩って食べていたときに、何らかの突発事故に見舞われて死んだのかも知れません。

ユティラヌス・フアリの頭部(写真提供:世界最大 恐竜王国2012)
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ユティラヌスの尾椎化石。羽毛の跡が見られる(写真提供:世界最大 恐竜王国2012)
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