地球の富を再確認し、人類共通の未来を築く場に

 しかし、そのためにはもっと生物や地球環境から学ばねばなりません。残念ながら、その未知への扉を、学ぶ権利を、環境破壊によって自ら放棄しつつあるのが現在の状況です。実際、熱帯林や海洋生態系の破壊によって、まだ発見されてもいない多様な生物を絶滅に追い込むことで、私たちは何を失っているのでしょうか。

 国連生物多様性条約締約国会議では、生物資源の持続可能な利用と利益還元が議論されてきました。たとえばアマゾンなどの貴重な薬草をベースに先進国が新薬を開発した場合、その利益が正当に原産国にも還元されることで、貴重な熱帯林が守られる道が開けます。森を牧場やプランテーションにすることでしか成り立たなかった地域経済が、森を守ることで成り立つような新たな地球経済のスキームを構築することで、エコロジーとエコノミーの統合が可能になるのです。

 しかしここでも、もはや「南北間」の公平な利益分配といった20 年前の文脈を超えて、私たちがどんな地球の富を人類共通の未来に向けて担保しようとしているのかを意識しなおすことが重要です。数十億年かけて培われてきた地球共生系の富をわずか数十年で消し費やしてしまう、私たちの経済のBad Design、経営感覚のなさに、そろそろ気づくべきです。より科学が進んだ次世代なら、そこからもっと大きな富を引き出せるでしょう。

 リオ+20は、こういう人類にとって大きな転換点となる、重要な「通過儀礼」です。地球サミットの意義を計る、価値尺度のブロードバンド化が求められている気がします。



電子書籍「リオ+20 特別号 70億人が分かち合う 地球の未来」から抄録しました)

竹村 真一(たけむら しんいち)

京都造形芸術大学教授。文化人類学者。Earth Literacy Program代表。デジタル地球儀「触れる地球」の企画・開発など地球環境教育の新機軸を提起。東日本大震災復興構想会議の専門委員を務めた。

「リオ+20に寄せて:竹村真一さん(文化人類学者)」最新記事

バックナンバー一覧へ