第5話  地球微生物学よこんにちは

その5  海底下生命、そらウチでもやらなあかんやろ!

アメリカ最先端とやらの実力を見せてもらおうか。さらに、その最古の生態系とやらの実力を拝ましてもらおうか。そしてその先端性をちゃっかりスパイさせて頂こうか。

それが、ボクがパシフィックノースウエスト国立研究所に行った理由だった。

そして1999年の春、ボクと妻は、西部劇映画でよく見るような、砂漠の風で道をコロコロ転がるトゲトゲ草が本当にコロコロしている町、「殺伐」としているのに「豊穣」と名付けられた皮肉ばっちりの町、リッチランドにやってきた。

一気に話をまとめてしまうと、ボクはその砂漠の研究所で、深海熱水で鍛えた分子生態学的研究手法や微生物ハンティング技を使って、ニューメキシコ州のジュラ紀から白亜紀にかけての堆積層中の地下水微生物群集や南アフリカの超深部金鉱環境の微生物群集の研究をドシドシ進めた。そしてアメリカ人がびっくりするくらいの早業で、1年の滞在期間中に3報の論文を書いた。

実は、このパシフィックノースウエスト国立研究所での1年間の滞在は、博士課程1年生の時留学したワシントン大学海洋学部でボクが感じたキラキラした青春の心象や想い出といった、ココロの内面に届く大きな影響のようなモノをほとんど感じることはなかった。