第5話  地球微生物学よこんにちは

その5  海底下生命、そらウチでもやらなあかんやろ!

そして新しい統合深海掘削計画(IODP)では、新機軸として「海底下生命の謎に挑むかんな」というテーマを掲げる事になった。その主導国日本の、さらに中心研究機関たるJAMSTECでは、「そら(ウチでも海底下生命の研究もやらな)あかんやろ。そういうもん(世界最強の海洋研究所として当たり前の話)やろ」と慌て出したのだ。

JAMSTEC上層部とJAMSTEC微生物グループ大ボスの掘越先生が赤坂の料亭で密談、あるいは水戸黄門の代官と越後屋のように「オヌシもワルよのぉー。ちょうど活きのエエの若い衆がおるわい、ケッケッケ」、と言ったかどうか全く定かではない。

が、すっかり「ドイツに行くぜ。深海熱水から始源的アーキアを分離するぜ」な気分になっていたボクに、「もう深海熱水は時代遅れよ。これからは地殻内微生物の時代よ。外国に武者修行に行ってもええけど、地殻内微生物研究をやっているところに限る。そして帰ってきたらJAMSTEC海底下微生物研究グループを立ち上げろ。異論は認めない」というギョーム命令が下ったのだ。

ボクはかなりカチンと来た。JAMSTECに雇われているならともかく、ボクはあくまで居候の身分だったはず。なのに、大好きな「深海熱水の微生物の研究」を打ち止めて、海のモノとも山のモノとも分からない「地殻内微生物の研究」をやれと?