第1回 焼畑の名人に学ぶ――自分探しの旅

 「聞き書き甲子園」という活動があるのを御存知だろうか。毎年、全国の高校生が「森」や「海・川」の自然と関わりながら生きる「名人」を訪ね、一対一の対話を通じて、その知恵や技(わざ)を「聞き書き」し、記録する活動だ。

 参加する高校生は、毎年100人。その多くは、都市のサラリーマン家庭に育ち、森や自然に対して漠然とした憧れをもつ、ごく普通の10代後半の若者たちだ。

 一方、「名人」は、高校生にとっては祖父母、あるいは曾祖父母にあたる世代の人たち。ムラに暮らし、林業や炭焼き、マタギ、漁師などの生業を通して、森や海、川の自然と向き合い、暮らしてきた人々である。

 私は、その「甲子園」の事務局をずっと担当してきた。毎年、参加する高校生の相談相手になるのが仕事。「聞き書き」に関することはもちろん個人的な相談にも、随分、応じてきた。進学や就職、家族や恋人のこと、理想とする生き方と現実……。10代後半の彼らには、将来に対する迷いや不安が常にある。そんな高校生にとって「聞き書き」は、いわば「自分探し」の旅。名人との出会いを通じて、自らの生き方を問う旅である。