森の木が枯れて土となり、太陽と雨がその上に草を育み、その草がウサギを育む。灌木や岩がウサギに隠れ家を提供し、きびしい野生の世界でも生き抜くことができる。
この土地が持つ、そんな自然のあらゆる要素が結晶となって、ウサギという生命に輝きを与えているのかもしれません。
朝食を終え、木に吊していた食糧を下ろして荷物をひとまとめにすると、さあ出発。いよいよ初めてのポーテッジ越えです。
まずは、カヤックだけを隣のニュートン湖に運ぶことにします。
ライフジャケットをクッション代わりにして、カヤックの中央部に開いた、座席用の大きな穴を、肩にひっかけるようにして担ぎます。
重さは25キロぐらいでしょうか。ぐっと歯を食いしばり、気合いを入れて持ちあげると、そのまま肩に乗せて、森の中を歩き始めます。
このポーテッジは道幅が広くて歩きやすく、長いカヤックを運んでいても、前後を気にする必要はありませんでした。
石のでっぱりや、木の根っこにつまずかないように注意しながら、松葉の積もった道を森の奥へと進んでいきます。