温度計測の最初の挑戦は、航海前半戦、4月中旬のことでした。

 第1工程は、ウェルヘッドの設置。装置を海底に30メートルほど押し込んだ後、パイプを切り離して船上に引き上げてくるのですが、この切り離し操作に、今回初挑戦の手法が採用されました。水深が7000メートルもあるからです。

 これまでのような水深3000メートルより浅い海であれば、例えば無人探査機が潜航し、マニピュレーターでクイッとスイッチに圧をかけるとパイプ接続部を切り離すことができました。しかし、「ちきゅう」に搭載された無人探査機は、水深7000メートルの海底までは到底潜航できません。

 船上代表のサルハシさんや技術グループリーダーのキョ兄さんたちは、どうやってパイプを切り離すか、この1年弱の間、世界を飛び回って準備してきました。

 そして編み出した方法は、スイッチとなる「投げ矢(そのままダートと呼んでいます)」をパイプを通じて船上から海底の装置まで落下させ、それによってポンプしている海水の流れを変えることで、パイプとの切り離し機構を作動させるという仕組みでした。今回これを新たに考案して挑みました。

ムーンプール(船体中央にある開口部)から海中に水中テレビカメラを降下開始。ここから深海7000mまで潜航します。(Photograph by Kuri/JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)

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