第5回 巨大津波もリアルタイムに検出可能!

太陽活動の影響がクリアにわかってきたのはごく最近だ。(写真クリックで拡大)

 今現在、研究分野として若く、地球のまわりの「宇宙天気」をめぐる数値予測モデルが、実用レベルにないというのは、つまり、その「普通のこと」の理解が本質的なレベルに達していないということだろう。

 長妻さんは言う。

「ほんの50年か60年前の人たちは、太陽からプラズマの風が吹いていることも知らなかったんです。大きなフレアがあると数日後に地球でも磁場の乱れがあるから、何か因果関係があるかもしれない、という推測程度でした。1960年代に人工衛星が上げられるようになって、それで、様々な太陽活動が地球に及ぼす影響のメカニズムが見えてきたわけです。それがここまでクリアになってきたっていうのは本当に最近のことなんですね」 

 本当に若い研究分野なのだ。

 10年、20年後、おそらく我々は、今よりもっと「宇宙天気予報」を必要としているに違いない。その時のために粛々と予報し、研究を進める人たちの存在を、実に頼もしく感じたのだった。

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おわり

長妻努(ながつま つとむ)

1967年、東京都生まれ。情報通信研究機構 電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室研究マネージャー。博士(理学)。1995年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。大学でオーロラを研究したのち、太陽活動とその影響に興味を移す。現在は放射線帯の予報モデルや、人工衛星がいた場所の宇宙環境を再現する数値予報モデルをはじめ、宇宙天気予報の研究に従事している。『太陽からの光と風 -意外と知らない?太陽と地球の関係 (知りたい!サイエンス)』(技術評論社)、『総説 宇宙天気』(京都大学学術出版会)などの共著がある。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)など。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider