第3回 太陽嵐で大規模停電が起きるわけ

 長妻さんは、現在、「宇宙天気予報」を行う研究室の研究マネージャーであるわけだが、もともとは、大学で人工衛星を使ったオーロラの研究をしていたという。オーロラといえば、極域で見られる夜空の一大ページェントであり、地球上でもっとも幻想的な現象の一つだろう。

 しかし、長妻さんは、オーロラの研究の中で、太陽活動と宇宙環境の関係に関心を移していく。

「実はオーロラ現象のもとになっているのがやっぱり太陽活動なわけです。しかもその太陽活動によって電離層や磁気圏が乱れたりとか、実際に衛星が壊れたりするということがわかってきまして、その方面の研究に進みたいと思ったわけです」

 というわけで、オーロラ研究から発した長妻さんの研究領域は、今は地球の磁場に捉えられた高エネルギーの電子や陽子からなる帯状の構造、放射線帯(ヴァン・アレン帯)に移っているという。「宇宙天気予報」の中で、地上に直接影響を与える「磁気嵐」にも関係してくる分野だ。「磁気嵐」の後に放射線帯の電子が増加することがあり、それによって、前に見たプロトン現象とは別に、衛星の故障や誤動作が引き起こされることもあるらしい。

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2012年6月号特集「太陽嵐の衝撃」
本誌では宇宙天気予報の対象である太陽嵐の最前線をレポートしています。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。ぜひあわせてご覧ください。