「太陽からのプロトンが非常に増えると、アップセット(反転)の回数も増えてきます。ひどい場合には、もう本当に回路がとまってしまうだとか、壊れてしまうことも起こり得ます」

 では、極大のプロトン現象が起きると、今、地上でキーボードを打っている、ぼくなどの前でいきなり、バチンとパソコンが誤動作を起こし、停止したりすることはありえるのだろうか。

「さすがにそこまでは。プロトンは地上までは届かないので──」と長妻さんは言った。「むしろ、地上に影響を与えるのは地磁気嵐の方です」と。

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つづく

長妻努(ながつま つとむ)

1967年、東京都生まれ。情報通信研究機構 電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室研究マネージャー。博士(理学)。1995年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。大学でオーロラを研究したのち、太陽活動とその影響に興味を移す。現在は放射線帯の予報モデルや、人工衛星がいた場所の宇宙環境を再現する数値予報モデルをはじめ、宇宙天気予報の研究に従事している。『太陽からの光と風 -意外と知らない?太陽と地球の関係 (知りたい!サイエンス)』(技術評論社)、『総説 宇宙天気』(京都大学学術出版会)などの共著がある。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)など。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider

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