調理器具とはいっても、ステンレスでできた、折りたたみ式のただの四角い箱です。
上部は開いていてコッヘルをのせられるように五徳が備わり、底は空気の通り道となるようメッシュになっています。
この中で、枯れ枝や松ぼっくりなどを燃やし、ちいさな焚き火を起こして、その熱で調理するという仕組みです。
火加減の調節はあまり細かくできませんが、森には燃料がそこらじゅうに落ちているので、足りなくなる心配がありません。
テントのまわりで松ぼっくりを拾い集めるのは、まるで栗拾いかキノコ狩りでもしているようで、おもわず夢中になってしまいます。
しかし、集めた燃料をストーブの中にいれ、火をつけようと思ったとき、焚きつけ用の紙を持ってきていないことに気がつきました。
トイレットペーパーは自然のなかではお札よりも貴重です。メモ帳も旅の記録に必要だし、買い物のレシートもとっておきたい。
当時のぼくは、この森で手に入るシラカバの皮がたきつけに最高だとは知らず、すぐ燃えてくれそうなものは他に思いつきませんでした。
<こんなことなら新聞ぐらい買ってくるんだった。>