主人公のバックはセントバーナードとシェパードの混血。大きな屋敷で貴族のように暮らしていたバックが、放浪の末にいかにして野性の血をたぎらせていくのか。冒頭の詩は、その過程が描かれていくことを暗示しているようでした。

 ゴールドラッシュに沸く人間の欲望。その渦に巻き込まれ、過酷な環境に放り出されるバック。

 暗く生々しい暴力的な描写が続き、「裏切り」「誘拐」「賭博」「酒場」……といった単語は、おだやかな湖畔で読むには、異世界のことばのように聞こえました。

 それにしても、気持ちのいい自然の中で、風に吹かれながら読書ができるなんて、こんなにも豊かな時間はほかにあるでしょうか。

 ひさしぶりに日本語の活字を堪能したあと、お腹もすいてきたので、米を炊くことにしました。

 長いキャンプ生活もあろうかと、なるべく燃料を節約するために、ガスカートリッジを使うストーブとは別に、ある道具を日本から持ってきていました。

 それは「ネイチャー・ストーブ」あるいは「ブッシュ・クッカー」とも呼ばれる調理器具です。

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