放浪への憧れは募り
 習慣の鎖に心苛立つ。
 冬の眠りよりふたたび
 野性の血は目覚めゆく。

 テント脇の丸太に腰掛け、アメリカの作家ジャック・ロンドンの小説『野性の呼び声』(大石真訳・新潮文庫)の最初のページを開くと、そんな詩が書かれていました。

 初めてアメリカにやってきてからというもの、毎日が刺激の連続。自然の中にきてようやく、日本から持ってきた本を手に取る余裕が出てきたのです。

岸辺に生える草が静かな湖面に映り、幾何学模様を描いていた。 
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 この旅では、これまでの自分のルーツを辿り、人生をしっかり見つめ直したいという思いもあって、ヘンリー・D・ソロー『森の生活』、サン・テグジュペリ『人間の土地』、星野道夫『旅をする木』など、すでに何度も読み返してきた愛読書ばかりを持ってきていました。

 けれど、この機に読んでみたい新しい本も2冊ありました。

 ひとつは、アメリカ人の魂というものがすこしでも分かるかと思って選んだ、ウォルト・ホイットマンの『対訳 ホイットマン詩集』。そしてふたつめが、タイトルに惹かれ、今回の旅にもってこいだと思った『野性の呼び声』でした。

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