宇宙環境インフォマティクス研究室の長妻努さん。(写真クリックで拡大)

「地球のまわりの磁場の状態や、太陽から飛んでくるプラズマの風、エネルギーの高いプロトンや電子の状況などを予報します。これらはすべて太陽の活動にその源があります。重要な項目が、幾つかありまして、1つはまず太陽フレア、太陽表面での爆発現象です。さらに、フレアに伴って、非常にエネルギーの高い粒子が生成・放出されて、地球に到来することがあります。プロトン現象と呼んでいるんですけども、その予報。それから、太陽から到達するものの影響で地球の磁場が乱れるんですが、それが激しいときには地球周辺の宇宙環境にも色々な影響が出るので、地磁気の乱れの予測も行っていますね」

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 フレア予測、プロトン現象の予測、地磁気のじょう乱予測。以上が、宇宙天気予報の3本柱だ。

 長妻さんたちが運営する宇宙天気予報のウェブサイトでも、たしかに、それら3つが大きく併記してある。

 それでは、なぜ、このような「予報」が必要なのだろうか。

 極大期に起こりえる「物騒なこと」はともかく、日常的な予報が必要な理由は何なのか。

 実際のところ、人工衛星の運用関係者、航空会社、電力会社、アマチュア無線家、オーロラ愛好家、様々な方面で予報は活用されているという。考えていた以上に、我々の日常に密接に関係しているようなのだ。

 そのあたりを理解しようとするなら、まずは太陽の活動に目を向けなければならない。

情報通信研究機構(NICT)の「宇宙天気予報」の例。(写真クリックで「宇宙天気予報」のページへ)

つづく

長妻努(ながつま つとむ)

1967年、東京都生まれ。情報通信研究機構 電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室研究マネージャー。博士(理学)。1995年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。大学でオーロラを研究したのち、太陽活動とその影響に興味を移す。現在は放射線帯の予報モデルや、人工衛星がいた場所の宇宙環境を再現する数値予報モデルをはじめ、宇宙天気予報の研究に従事している。『太陽からの光と風 -意外と知らない?太陽と地球の関係 (知りたい!サイエンス)』(技術評論社)、『総説 宇宙天気』(京都大学学術出版会)などの共著がある。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)など。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider

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