第1回 ずばり、宇宙天気予報とは

 これを聞いた時、ぼくはかなりちんぷんかんぷんだった。

 プロトン現象、CME現象……なにそれ?

 デリンジャー現象……聞いたことあるけど、たしか電波に関係することだっけ??

 とはいえ、こういった専門用語を、耳慣れた気象現象、例えば、高気圧、低気圧、台風、嵐、強風といったものに置き換えてみると、とたんに、これは本当に「天気予報」だと感じてきた。

 と同時に、「宇宙天気予報」なるSFチックな字面の業務が、すでにルーティンワークとして確立していることに、あらためて衝撃を覚えたのだった。

 件の研究室がある情報通信研究機構(NICT)を路上から見ると、高層ではなく横に広いつくりが、何かのメーカーの研究所を思わせる。「NICT」というロゴが掲げられているので、会社名だと思う人も多いだろう。

NICTの電光掲示板に表示される時刻。ここで日本標準時を決めていると思うと感慨深い。(写真クリックで拡大)

 建物の上に電光掲示板で時刻が表示されているのだが、その重要性もぱっと見には伝わらない。実は、原子時計を基準にして、日本標準時を決めるのが、この研究所の役割のひとつなのだそうだ。つまり、電光掲示板の時計表示は日本の時刻の基準なのである。

 重要な役割を担う施設ほど、地味に佇んでいるというのは、このウェブ連載で訪ねてきた「研究室」でだいたい共通した印象でもある。

 さて、そんな研究所の中にある、宇宙環境インフォマティクス研究室の長妻努研究マネージャーを訪ねた。