第3回 それでもマグロを食べますか?

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

 産業的漁業の到来によって、20世紀後半の総漁獲量は高いまま維持されていた。大型の高速船を利用する漁業者が増え、さまざまな種を探知して捕獲する手法も格段に進歩した。魚場はますます沖合へ、深海へと拡大し、それまでは不名誉にも屑魚とされていた魚の新たな市場が開拓された。ほとんどの種類のサメやエイ、今やすっかり人気の食材となった大きな歯をしたアンコウなどである。

 研究者にはマジェランアイナメとして知られる大西洋海域の深海魚が「銀ムツ」や「メロ」となり、ヒウチダイの仲間が「オレンジラフィー」になった。

 フライやサンドウィッチとして出される天然魚にどんな名前がつけられていようと、自分が食べようとしているものと実際に出されるものは、まったく別のものかもしれない。言ってみれば、チキンサラダを注文したらペリカンの切り身が出てくるようなものだ。だからといって確かめようとする人がいるだろうか? いったい誰が気にするだろう?

 NOAAでクロマグロの苦境を知った数週間後、私はクロマグロの漁獲割当が議論される会議に出席した。そこで出された由々しき提案は、今後もアメリカに大量のクロマグロ漁獲枠を許可するものだった。唖然とした私は思わずこう叫んだ。

 「クロマグロを絶滅させるつもりですか? だとすれば、お見事ね! あと10パーセントしか残っていないんですから!」