みなさんこんにちは。今回も「ちきゅう」船上から航海の様子をお伝えしていきます。前回は、海底下850.5mまでの掘削に成功し、地球内部の物理データを取得できたこと、おまけに海洋科学掘削における掘削パイプ長の世界記録(7768.5 m)まで樹立した、というところまでお届けしました。
とはいえ、何も世界記録をつくるために掘削しているわけではありません。航海最初の大きな目的は、あの大地震でできた断層がどのくらいの深さにあるのかを調べることです。これまでの調査で、この船の真下に何人か断層帯容疑者がいることはわかっているのですが、正確な深さはよくわかっていません。深さが判明してはじめて、最終目的である断層の温度調査や岩石のサンプル採取にチャレンジできるわけです。
そこで「ちきゅう」では、「掘削同時検層(LWD)」という計測技術を用いて、掘削を進めながら、お目当ての断層がどれほどの深さにあるのかを探り当てようとしました。LWDって何よ?と技術に興味津々な方は、その道のプロ、乗船研究チームのサニーさんが書いたレポートもぜひ参考にしてください。
ここでは、具体的にどんなデータを取得して、どうやって断層の深さを割り出そうというのか、そしてその作戦の顛末は?というところをご紹介しましょう。