レンズの裏側

――この場面のどういうところに興味を引かれたのですか?

レオン:自分の体を使って反政府的な主張ができると考えたのでしょう。そこに興味を覚えました。体中に貼っているのは、通りがかりの人たちにメッセージを書いてもらった付箋です。「正義と倫理」「私たちは忘れない」「活動家を釈放せよ」といったメッセージもありましたが、多くは「6月4日」や「6.4」といったものでした。

――後方であおむけに寝ている人は何をしているのですか?

レオン:彼もアーティストで、口に水を含んで、その中で小さなカニを泳がせています。中国の検閲を表現しているのだそうです(川にすむカニを指す中国語「河蟹」は、検閲を婉曲的に指す)。

 香港はカメラを持ち歩く人が多いんです。「付箋男」は格好の被写体で、私はなかなか撮らせてもらえませんでした。もう一人が路上に横になって、人だかりがそちらに移った隙に、この写真を撮りました。

 1985年の映画『未来世紀ブラジル』で、ロバート・デ・ニーロ演じる反逆者に紙がまとわりつく場面があるのですが、その場面を思い出しました。