マイル・アイランドの南西端の横を過ぎると、いよいよバウンダリー・ウォーターズ・カヌー・エリア・ウィルダネス。この先は、人工の建築物はいっさい存在しません。

 島を右手にみながら、岸をなぞるようにゆっくり進みます。

 木や草が水際まで生える、自然のままの美しい水辺が、どこまでもつづいていました。

 左手のフォール湖の北岸までのあいだには、直径が200メートルにも満たないような小さな島がいくつも見えました。

 地図とにらめっこしながら、島や対岸の岬の方角をコンパスで確かめつつ、自分の移動するスピードや距離を感じ取ります。湖上の水平の世界では、それぐらいしか、位置を知るための手がかりがありません。

 自分が動くにつれて、手前の岸は速く、遠くの岸はゆっくりと流れていく。

 対岸の岬が、島の影にかくれては、また姿を現す。

 そんなふうに、ゆるやかに変化する地形の情報から、自分がいま、この世界のどこにいるのかを知るのです。

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